【来院日】

平成２９年１１月

【患者情報】
　
４０代女性、公務員、フラメンコを趣味でやっている。
数年前に右足首の捻挫


※他、本件に関わる既往はなし

【症状・お悩み】

来院される４日前に転んでから左足を開くようにして歩き、以後まっすぐ歩くことが出来ない。


・真っすぐ歩けない
・足首、膝、股関節、肩の順番で痛みがある。







【来院きっかけ】

ホームページを見て


【見立て】

転んで傷めからまっすぐに左足を着くのが痛く荷重バランスを逃しながら生活していた。それで身体の歪みを生じ、開くようにして歩くようになってしまったのでは？考えました。
痛みの順番を聞くと上降性連鎖のように痛みを訴えていたので原因点を足首と定めました。



【治療・経過】

１診目

L、C5（１）…①、曲泉…②、陽補、T５（１）…③

①に鍼をした後に歩いてみます。すると真っすぐ歩けるようになっています。
「ではこちらへ返ってきてください。」と私が言うと
「痛い。痛い。」と訴えがあります。ターンで膝の内側が痛くなるようです。

②に鍼をした後に歩き、ターンもできるようになりました。ただ、歩くと脛の外側が痛くなってくると言っています。

③に鍼をした後に歩き、ターンもできるようになり脛の痛さもなくなったことからこの日の治療は終了しました。


２診目（４日後）

『足首は痛くないけど、黙っていると脛の外側が痛い』と言う訴えがあります。

検査すると足関節を底屈させると膝の外側に痛みが走ります。


L,申脈・C５(１)・L1(１，５)…①　志室・築賓…②


①に鍼をした後に歩いてみます。今までで一番歩きやすい！と喜んでくれました。

けど歩いていると股関節の裏側が痛くなります。と言う訴えがあります。
この部分には圧痛もありました。

②に鍼をします。圧痛もとれたことから、この日の治療は終了しました。


３診目（７日後）

『半年くらい痛みのせいでやっていなかった正座が無意識のうちでやっている自分に驚いた！』と言う嬉しい声をいただきました。

フラメンコをやっていて、膝や股関節の動きが悪くなり痛みがあり“正座は出来ない！”と言う思い込みがあったようです。


『昨日フラメンコの練習をやったのですが膝が痛くなってきたので途中でやめました。以降、階段の降りる時が痛い。』と言う訴えがありました。

そこで膝の整形外科的なテストを行うと…
内側側副靭帯ストレステストがやや陽性であります。


L膝根、T9(１)、委中

治療後、ストレステストは陰性になり膝の動きも良かったためこの日の治療は終了しました。


４診目（７日後）

『数年前に右足首の捻挫後からフランメンコの振り付け時に右を軸にしづらい。昨日フラメンゴの練習をやって今日は特に右膝の内側が痛い。』と訴えていました。


右軸の片足立になってもらうと正中がとれなくグラグラしてしまいます。
左軸の方が安定感があります。


そこで…

R、C５(１)、陽輔

この治療後は左右同じくらいの安定感になっています。

また、左は前回のツボに内眼裏を加え治療しました。※メンテナンス目的



５診目（７日後）
『安定感は出てきたが今日は出尻になると左膝裏が痛い』と言うので

L、殷門、L1(２)、膝根

出尻になっても痛みはなくなっているためこの日の治療は終了しました。

コンディションも良さそうなので、この日から２週間に１回の治療周期にして経過をみています。

６診目～
特異的な症状もなく、パフォーマンス向上を目的に治療を継続中であります。



【想い】

足首の緊張が全身の歪みを生んでいる症例でした。


地面接地部分である足首が外側に捻じれると近隣関節もそれにこたえるように捻じれていくのを“上降性連鎖”と言います。
それが転んだ時から起きていると推測できます。

４診目～は、来院目的が痛みと言うよりはパフォーマンス重視に訴えが変わってきました。患側だった左は、今ではほぼ元通りの状態になったと思います。

正中に軸があることは、積み木（骨）が綺麗に並んでいることと言えます。
フィジカルトレーナーでない自分はもっている力を１００％発揮するのをお手伝いするのが最大の役目と思います。
上記のように訴えに対して、その場その場で応えることができるのが当院の治療の特徴です。


フラメンコと言うスポーツの特異性もあるので足首や膝にかかる負担もかなりあるので長い目で寄り添い、治療を続けたいと思います。